
セラス
セラス
はっ……はっ……。

セラス
セラス
はっ…………はっ…………。
セラス
セラス
はぁ……はぁ……。
……ふ、ふふ。きょうも朝練いちばん乗り!
わたしがいちばん!
泉
泉
残念。 2番だ。
セラス
セラス
なっ……!?
セラス
セラス
泉に負けた……っ!
ああああああああああ!
泉
泉
そんなに?
セラス
セラス
いやでも待って。
泉はスクールアイドルがあまりにも楽しいから、
セラス
セラス
朝早くから練習しようとしてたんだよね。
それってわたしの影響だよね。
セラス
セラス
つまり、結果的にわたしの勝ち!
ウィナー! セラス 柳田 リリエンフェルト!
泉
泉
……朝から楽しそうだね、あなたは。
セラス
セラス
バカにしてる!?
泉
泉
いや、この点に関しては褒めてるよ。 羨ましいぐらいだ。
セラス
セラス
ならよし。
セラス
セラス
わたしもすぐ着替えるから、練習しよ。
泉
泉
もちろん、良いとも。
セラス
セラス
ふふっ。
どうどう? そろそろ、スクールアイドル、好きになってきた?
泉
泉
さてね。
セラス
セラス
逆張りは恥ずかしいことなんだよ、泉。
泉
泉
……あなたは本当に、朝から元気だね。

セラス
セラス
んぐぐ……。
セラス
セラス
そ、そういえば、泉。
例の宿題、進んでる?
泉
泉
ああ、Edel Noteの新曲の話だね。
セラス
セラス
そう。 今月のFes×LIVEで披露する新曲。
お互い、案を持ち寄ろうって言ってたやつ。
泉
泉
できてるよ。 3曲。
セラス
セラス
……できてる?
完成させたってこと?
泉
泉
ま、とりあえずね。
セラス
セラス
……スクールアイドルしゅきしゅき♡人間じゃん。
泉
泉
思いついたから作ってみただけだよ。
実物があったほうが、話が早いだろう?
セラス
セラス
ツンデレなの? 吟子先輩ってこと?
泉
泉
曲、聞いてみるかい?
セラス
セラス
ききたいききたい!
泉
泉
どうかな?
泉
泉
セラス?
セラス
セラス
……違う。
セラス
セラス
だから違うんだってば!
泉
泉
おや……。 敗北感で胸がいっぱい、という雰囲気ではなさそうだね。
お気に召さなかったかな。
セラス
セラス
曲はどれもいい曲だけど! そういうことじゃなくて!
セラス
セラス
いつもクオリティにねじ伏せられてきたけど、きょうこそは言うからね!
泉は自分のできることばっかりやるから、だめ!
泉
泉
ん……? んん……??
セラス
セラス
あのときも!

セラス
セラス
泉、わたしの考えてきた新しい振り付け、どうだった?
泉
泉
ふむ……なるほど、なかなか悪くない。
だけれど、こういうのもどうかな?
セラス
セラス
え、待って、むちゃくちゃクオリティ高い……。
セラス
セラス
……って、そうじゃなくて!
泉
泉
?

セラス
セラス
あのときも!
セラス
セラス
ね、泉。
新曲の衣装のイメージ書いてきたんだけど、見て見て。
泉
泉
へえ、いいじゃないか。
でも、あなたはもう少し、こういうほうが似合いそうだけれど。
セラス
セラス
は……? ファッションセンス、神すぎん……?
セラス
セラス
……って、違う違う! そういうことじゃなくて!
泉
泉
??
セラス
セラス
泉はいつだってそう!
ラブライブ!優勝しそうなことしかしない!
泉
泉
ひょっとしてものすごく遠回しに褒められているのか?
セラス
セラス
違う!
セラス
セラス
今から、ものすごくめんどくさいこと言うね。
泉
泉
普段通りってことじゃないか。 それがセラスだろう?
セラス
セラス
そうだね。 わたしめんどいもんね。
っておーーーい。
セラス
セラス
わたしは、もっと“桂城 泉”が見たいの。
泉
泉
私を……?
セラス
セラス
そう。 振り付けでも、衣装でもそう。
世界中で、泉にしか作れない、泉が作ることに意味がある曲。
セラス
セラス
蓮ノ空の先輩方みたいな……そういう、オンリーワンの曲。
泉
泉
私だけの曲……か。
泉
泉
常により良いものを作ろうと思っていたつもりだったけれど……
その観点は確かに、なかったかもしれないね。
セラス
セラス
……ごめんね。
泉
泉
……なぜあなたが謝るんだ?
セラス
セラス
泉は去年1年間、わたしの夢を叶えるために努力してくれた。
セラス
セラス
ラブライブ!で優勝するための曲は、
みんながいいなと思ってもらえる曲じゃないとだめだから。
セラス
セラス
それがもう、泉のスタンダードになっちゃってるんだよ。
セラス
セラス
泉はずっと、わたしのためにそうしてくれてたから。
泉
泉
確かに、私のスクールアイドルとしてのスタイルを定めたのは、
あなたとの1年間だった。
泉
泉
だが、別にそれが悪いわけじゃないだろう?
セラス
セラス
そうだけど。 でもこないだね、
セミに追いかけまわされて半泣きで最悪な気分になったとき、気づいたんだ。
泉
泉
セミに……。
セラス
セラス
ほんといやだったけど、小鈴先輩が助けてくれた……。 神……。
泉
泉
小鈴先輩は頼りになるね。
セラス
セラス
うん。 それで、
寮に帰ってからも怒りが収まらなくて『セミ滅べ』って曲を作ってたら、ふと思ったの。
セラス
セラス
そうか、泉は“余裕があるからだめ”なんだ、って。
泉
泉
それ話繋がってる?
セラス
セラス
泉は曲作りだって、振り付けだって、
衣装デザインだってなんでもうまくこなせちゃうから、
自分を出す必要がないんだ。
セラス
セラス
出さなくても、今までずっと勝ってきたから。
出す必要性が、なかったんだ。
セラス
セラス
泉がスクールアイドルを楽しめてないのも、
ずっと、自分を出してないからなんじゃないかって思って……。
セラス
セラス
だから! そのために……わたしはどうにかして
泉にギャフンと言わせなきゃいけないんだよ!
セラス
セラス
わたしが泉の、セミになってあげる!
泉
泉
またあなたは……面白いことを考えてきたね……。
セラス
セラス
でしょう?
セラス
セラス
4月から数えて、もう4か月。
セラス
セラス
なんの成果も出ないまま、1年の3分の1が過ぎちゃったんだよ。
人間の寿命で考えると、60歳だよ!
泉
泉
私は180歳まで生きるのか……。
セラス
セラス
今の泉は、60歳! これじゃ、スクールアイドルが楽しくなってきた途端に
Edel Noteが終わっちゃうよ!
セラス
セラス
ね、泉。
わたしが、泉の壁を壊してあげる。
セラス
セラス
スクールアイドルがみんな、自分の想いを前に出した曲を作るのは、
それが自分たちにとっていちばんの武器だからだよ。
セラス
セラス
泉の作る新しい曲は、きっと、いい曲になるって信じてるから。
セラス
セラス
だから、素の泉の歌を、聞かせて。
そうしたら泉も……もう一段、スクールアイドルが好きになれると思うから。
泉
泉
……なるほど、ね。
泉
泉
あなたの言いたいことはわかったよ。
罪悪感を覚えていることも、私のために言ってくれていることも。
セラス
セラス
『セミ滅べ』でもいいよ。 泉の気持ちが乗ってるなら。
きっとラブライブ!優勝を目指す曲より、泉らしい曲になるよ。
泉
泉
あいにく、人生でセミに殺意を覚えたことはないんだ。
セラス
セラス
あんなに最悪なのに……!!
泉
泉
でも、本当になんでもいいってことか。
セラス
セラス
うん。
泉
泉
まあ、その考え自体は、受け入れるよ。
具体的には、どうすればいいんだい?
セラス
セラス
そう、具体例。
そこでわたしは、さらに考えました!
泉
泉
ずいぶんたくさん考えてくれるじゃないか。
セラス
セラス
一応、あなたのパートナーですから。
セラス
セラス
夏合宿の話、聞いた?
泉
泉
ああ、来週だったね。
セラス
セラス
じゃあ、それが蓮ノ空だけじゃなくて、
近隣のいろんな高校のスクールアイドルと合同で合宿しようって話が
持ち掛けられてることについては?
泉
泉
初耳だ。
セラス
セラス
ふふん。 まあね。
きょうの朝、わたしにお誘いの声がかかったばかりだからね。
泉
泉
それは……まだ誰にも言ってないんじゃないかな。
セラス
セラス
うん……。 これから花ちゃんに、お願いしにいかないとなんだけど……。
セラス
セラス
ほら、去年、武者修行でいろんな高校を巡ったでしょう?
そこで知り合った人が、ぜひ、って。
セラス
セラス
わたしたちが蓮ノ空に入ったことも知ってたから、
よければ皆さんでご一緒に、って声をかけてくれたの。
セラス
セラス
わたしは、やってみたいな、って。
セラス
セラス
たくさんのスクールアイドルに、もみくちゃにされて、
スクールアイドルの情熱をいっぱい受け取って……。
セラス
セラス
泉が自分のスクールアイドル道を見つめ直す、
すごくいいきっかけになると思う。
セラス
セラス
ついでに、合同合宿の卒業試験を
『各自、ひとつ自分の曲を完成させること!』ってすれば、
セラス
セラス
わたしたちみんなFes×LIVEで披露する曲も作れるし。
セラス
セラス
慣れない子が一生懸命に曲を作ってる姿を見れば、
ほら……泉もグッとくるでしょ!
セラス
セラス
そういうのが泉は大好きなんだから! 情熱マニア!
泉
泉
否定はしないけれど。
セラス
セラス
その上! 夏合宿で、わたしが数々の試練を与えて泉にギャフンと言わせたり、
『もうむりぎぶあっぷー!』って言わせられたら、
セラス
セラス
泉も『このやろー!』っていうやる気に満ちあふれること、
間違いなし!
セラス
セラス
泉は『このままじゃだめだ……! もっと強い私にならなきゃ……!』
と歯を食いしばって、泥臭く手段を選ばなくなった結果、
セラス
セラス
本当の言葉で曲を綴れるようになるんだよ!
セラス
セラス
はぁ、はぁ……どう!? 泉!
泉
泉
本当に、いろいろと考えてくれたんだね、セラス。
セラス
セラス
泉はわたしのお姫様だからね!
セラス
セラス
……去年、泉にしてもらったことを考えたら、まだまだだけど。
セラス
セラス
泉は、どう?
泉
泉
……うん。
私の作る、私だけの歌、か。
泉
泉
そそられる響きだ。
セラス
セラス
じゃあ。
泉
泉
壁を壊したいと、私自身も願っているんだ。
あなたからの申し出、嬉しく思うよ。
泉
泉
ぜひ、やらせてほしい。
セラス
セラス
よっし!
この夏は、生まれ変わったEdel Noteを見せてやろうー!
泉
泉
しかし、問題がひとつある。
セラス
セラス
え……?
泉
泉
わざと負けるわけには、いかないんだろう?
だったら……あなたが私にギブアップと言わせる未来が、見えないな。
セラス
セラス
……。 今、挑戦状をたたきつけてきたね?
泉
泉
申し訳ないが、ただの事実なんだ。
セラス
セラス
ふふふふふ……。
その言葉、後悔させてあげるから。
セラス
セラス
それじゃわたしは早速、花ちゃんにお願いしに行ってくるから。
セラス
セラス
せいぜい今だけ余裕ぶってるといいよ。
さようなら、生まれ変わる前の、桂城 泉。 グッバイ!
セラス
セラス
あははは!
泉
泉
なにをする気なんだ……。
泉
泉
ふふっ。
泉
泉
まったく……あなたといると、飽きないよ。 セラス。
泉
泉
合宿、楽しみだ。