
海莉
海莉
……ほんとによかったですね、大事がなくて……。
泉
泉
ああ、まったくだ。
ただの寝不足と過労だなんて……。
海莉
海莉
うう、セラス先輩にがんばらせすぎたあたしも、責任を感じます……。
泉
泉
……それは、あくまでもセラス自身が責任を負うことだからね。
泉
泉
それより、すまないな。
あなたたちに瑞蓮祭の後片付けを任せてもいいのかい?
海莉
海莉
はい! 桂城先輩は、セラス先輩のそばにいてあげてください。
海莉
海莉
あ……でも、あんまりセラス先輩のこと、怒らないであげてください。
言ってたんです。
海莉
海莉
『これは、泉のためだから』って。
泉
泉
え?
セラス
セラス
瑞河を救うのは、瑞河を救いたいから。
でもそれだけじゃなくて、泉のためでもあってね。
セラス
セラス
泉はきっと、私の夢を叶えられなかったことを、ずっと、気にしてるから。
セラス
セラス
スクールアイドルを好きになってもらうために、
その罪悪感を抱えたままじゃ、つらいと思うんだ。
セラス
セラス
だから、今度こそ完全に瑞河を救って、
泉に心からスクールアイドルを好きになってもらいたいから。
セラス
セラス
それに泉だって今、
蓮ノ空でがんばってくれてる。
セラス
セラス
わたしはあの『桂城 泉』のパートナーなんだから、
これぐらいで弱音吐いてらんないよ。
セラス
セラス
これはわたしにとっても『リベンジ』なんだから。
がんばらなくっちゃ。
海莉
海莉
あたし、感動しました。
セラス先輩と桂城先輩の、絆の深さに。
海莉
海莉
……それだけセラス先輩に想われてて、少し、羨ましいです。
泉
泉
……。
海莉
海莉
あ! すみません!
瑞蓮祭のためにがんばってくださったおふたりに!
海莉
海莉
じゃあ、あたし先に戻りますので!
失礼します!
泉
泉
……そうか。
……セラスが、そんなことを、言っていたのか……。
泉
泉
……わたしはあの『桂城 泉』のパートナーなんだから、か……。
……そう、か……。
泉
泉
なぜ私は、気づかなかったんだ。
同じじゃないか……。 先輩のときと……!
セラス
セラス
……あ。
セラス
セラス
……泉?
泉
泉
目を、覚ましたかい。
セラス
セラス
……入院してた頃の夢、見てた。
泉
泉
へえ。
セラス
セラス
瑞河の、スクールアイドルのお姉さんに、ひどいこと言う夢。
あの頃のわたし、やさぐれてたから。
泉
泉
あなたにも、そういう時期があったんだね。
セラス
セラス
あったんだよ。
今は素直で明るくてかわいくて清楚で微塵も名残がないけど。
セラス
セラス
えっと……泉は、どうしてここに?
泉
泉
あなたの、付き添いさ。
セラス
セラス
そっか……ごめんね、心配かけて。
泉
泉
ただの過労、だそうだよ。
泉
泉
ここ最近の無理がたたったらしい。 きょうは大人しく、休むといい。
瑞蓮祭の後片付けは、他のみんなが協力してくれている。
セラス
セラス
ん……。
泉
泉
……。
セラス
セラス
……今度こそ、できる限りのことができたよね、わたし。
泉
泉
そうだね。
セラス
セラス
夢を叶えることができた。 これで、もう悔いはなくなった。
だから……次は、泉の番だね。
セラス
セラス
あと、4か月。
精一杯、泉にスクールアイドルを好きにさせてみせるからね、わたし。
泉
泉
もう、やめようか、セラス。
セラス
セラス
……なにが?
泉
泉
あなたと私の『契約』だ。
これ以上あなたは、なにもしなくていい。
セラス
セラス
……どういうこと?
セラス
セラス
えっと……。
もう、スクールアイドルのこと、大好きになったから?
泉
泉
いいや。
あなたは瑞河に戻るべきだ、セラス。
セラス
セラス
……意味わかんないんだけど。
なんで、そんなこと言うの?
泉
泉
わかった。
それなら、私が蓮ノ空を辞めることにするよ。
セラス
セラス
……泉?
待って、どうして。
泉
泉
……あなたの無茶は、今に始まったことじゃない。
ここ一年ずっとだ。
泉
泉
私の夢を叶えるためと言って、体に負担をかけてきた。
今回は大事には至らなかった。 だが、次がどうなるか、わからない。
泉
泉
私とあなたは、一緒に居すぎたんだ。
セラス
セラス
なんで……なんでそんなこと、言うの!?
セラス
セラス
わたしたち、今年一年Edel Noteでがんばろうって、
そう誓ったでしょ!?
セラス
セラス
わたしはまだ、泉の夢を叶えてない!
こんなところでやめるなんて、言わないでよ!
泉
泉
そうだ! それがそもそもの間違いだった!
セラス
セラス
泉……?
泉
泉
私はあなたの希望にすがった!
だが、そんなことはするべきではなかった!
泉
泉
叶わぬ夢など、見るべきではなかった!
セラス
セラス
わたしがちょっと倒れただけで、そんな、大げさなーー。
泉
泉
大げさなものか! あなたはもともと病弱だった!
このままでは、また……!
泉
泉
わかったんだ。
泉
泉
私が私自身の情熱を求めると、そばにいる誰かが、不幸になるのだと。
泉
泉
誰も私についてくることは、できない。
あなたはなおさらだ、セラス。
泉
泉
私はかつて……そんなひとの姿を、
この目で見ていることしかできなかった。
泉
泉
同じ過ちを、繰り返してなるものか。
もう一度、あんな光景を目の当たりにするぐらいならーー。
泉
泉
ーー私は、情熱などいらない。
セラス
セラス
泉!
泉
泉
さようならだ、セラス。
セラス
セラス
待ってーー。
セラス
セラス
あ……。
セラス
セラス
なんで、泉……。
なんで……。

セラス
セラス
……。
瑠璃乃
瑠璃乃
寮母さんに聞いてみたけど……昨夜は帰ってきてないって、泉ちゃん。
花帆
花帆
……そっか。
さやか
さやか
無断外泊なんて、心配ですね……。
吟子
吟子
きっと、泉のトラウマのせいだと、思う。
セラス
セラス
……え?
小鈴
小鈴
吟子ちゃん、それ……。
吟子
吟子
仕方ないでしょ、こんなことになってるんだし。
勝手に話したことは、後で謝るよ。
吟子
吟子
……ちゃんと帰ってきたら。
セラス
セラス
トラウマって、なんですか?
吟子
吟子
……セラスにも言ってなかったんだね。
吟子
吟子
泉はーー。
セラス
セラス
……先輩が、倒れて……。
わたしのときと、一緒だ……。
セラス
セラス
だから、泉はあんなに……。
花帆&さやか
花帆&さやか
……。
瑠璃乃
瑠璃乃
……ってことは、本当に戻ってこないつもり、なのかな。
花帆
花帆
そんな……だって、誰も悪くないのに!
小鈴
小鈴
そうですよ! もしかしたら長野に忘れ物しちゃって、
それを探しに残っただけなのかも!
さやか
さやか
しかし、連絡も繋がりませんからね……。
小鈴
小鈴
それは……! そう、ですね……。
瑠璃乃
瑠璃乃
……あれ? そういえば、姫芽は、きょうはどうしたの?
吟子
吟子
えと。
小鈴
小鈴
授業が終わったら、なんか、すごい勢いで教室を出ていきました。
吟子
吟子
なのでてっきり、いちばんに部室に向かったのかと……。
セラス
セラス
……泉。
セラス
セラス
わたしは、いやだよ……。
こんな、終わり方……。